はじめに
くすりが効かない危険なバイキン(薬剤耐性菌)が増えており、2050年には世界において薬剤耐性菌による死亡者数が、がんによる死亡者数を上回ることが報告されました。そのようにならないため、バイキンに対する薬(抗菌薬=抗生物質)を適切に使用する必要があります。そのためには、まず、バイキン、正確に言うと細菌(さいきん)の違いをよく知ってもらう必要があります。では、どうすればよいでしょうか。
バイキンをキャラクター化する
2015年から、学生の教育も兼ねて、「バイキンズ」というオリジナルのキャラクターを用いた薬剤耐性菌の啓発活動を学外でも行っています。つまり、細菌をキャラクター化したということです。「バイキンズカード」(写真)という学習用のカードも作製し、新聞でも大きく取り上げていただきました(2019年7月30日朝日新聞夕刊1面)(写真)。このような活動を続けてわかったことは、バイキンをキャラクター化すれば、子どもたちでもすぐに覚えてしまうということです。大学生よりも早く覚えているかもしれません。小学生でも「薬剤耐性菌を知っている」という状況ができれば、回り回って、大学生や専門ではない医師への暗黙のプレッシャーとなって、薬剤耐性菌にももっと注目が集まるのではないかと感じています。
承諾番号「19-3468」朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。
薬剤耐性菌の啓発活動をこれからも続けたい
このように、バイキンズのキャラクターを使った薬剤耐性菌の啓発活動を続けてきました。採算が合わないことなどを理由に、多くの企業が抗菌薬開発から撤退している中、大学などのアカデミアにゆだねられています。私自身、研究者として薬剤耐性菌の診断や治療薬の開発にも取り組んでいますが、創薬研究だけではなく、一般の方にも薬剤耐性菌をわかりやすく説明することが、我々の使命であると思っています。 一方で、啓発活動に対する予算は限られています。活動当初は、大学や医学研究科の支援を受けていましたが、自走することが必要と考え、カードの販売利益を活動資金の一部として用いてきました。今後も本活動を継続したいと考えておりますが、活動資金の調達が難しくなっておりますので、今回、支援を募ることを考えました。
どのように恩返しをするか
カードの販売はしないつもりでしたが、カードを作ってほしいとの要望があり、販売用のカードを作製いたしました。2017年11月に販売を開始して以降、なんとか初版の100セットを売り切り、活動資金が得られました。知る人ぞ知るキャラクターですので、ほとんど口コミでご購入いただいた方ばかりです。実際には直接面識のない方がほとんどですが、いつも喜んでいただいており、購入していただいたこちらの方が感謝の気持ちでいっぱいです。
このように、活動を継続することが応援してくださっている皆さんへの一つの恩返しだと考えています。しかしながら、せっかくのご支援に甘えることはできません。もっと、ご支援いただいた方に喜んでいただけるよう、イベントの開催や新作ゲームの作成などに加え、会員というリターンを考えました。
会員の特典について
通常会員とVIP会員で多少異なりますが、イベントなどの案内をメールにて行います。VIP会員の方には、限定ページのIDとパスワードを付与します。
キャラクターができるまで
2014年から大阪市立大学医学部で細菌学を教えることになりましたが、学生時代苦手だった細菌学をできるだけ分かりやすく伝えたいと考え、菌の性質に応じたイラストを書き始めました。そのようにして誕生したのが、現在、「バイキンズ」と呼んでいる、オリジナルキャラクターです。 その後、こども達を含む一般の方にも、アニメのキャラのような感覚で、細菌学に親しんでほしいと考え、「バイキンズワールド」という活動を始めました。これまでの活動を通じて、小学生以下でも感覚的に細菌を捉えることができることを経験し、「細菌学は分かりにくい」というイメージを払拭することができたのではないかと感じています。
細菌学の普及啓発活動の一環として、Lineスタンプも作成し、500名以上の方にご使用いただいています。おかげさまで、学会等でも好評で、メディカ出版の雑誌『INFECTION CONTROL』では、「Line de微生物」という連載コーナーを12カ月間担当させていただきました。 これまでは、細菌を中心に展開してきましたが、薬剤耐性菌が以前にも増して注目され、一般の方の間での関心も高まっているように感じます。そこで、これまでの啓発活動を耐性菌の理解を目的とした内容に改めたいと考えました。
これまでの活動実績
▼バイキンズワールドinサイエンスアゴラ:サイエンスアゴラへの出展企画(2015年11月14~15日、2016年11月5~6日、2017年11月25~26日、2018年11月10~11日) サイエンスアゴラ自体には毎年1万人程度が参加し、当該企画にも毎年200組程度が参加しています。企画においては、細菌感染症に関するゲームや薬剤耐性菌を含むパネルの展示を通じて、AMR対策の普及を行っています(写真)。
▼メディカルキッズセミナー (2015年12月12日、2016年12月24日、2018年12月26日) 小学生を対象とした医学系のセミナーです。延べ60名、12名1組で順に5つのセクションを回りながら医療従事者の疑似体験を行います。その中の企画の一つとして、オリジナルキャラクター「バイキンズ」を用いた細菌感染症に関する企画を提供しており、薬剤耐性菌対策についての普及活動を行っています(写真)。
▼バイキンズワールドin大阪中学生サマーセミナー(2017年7月26日) 20名の中学生を対象に、薬剤耐性菌を含む細菌感染症に関するセミナーを実施しました。▼バイキンズワールドin府大・市大 小中学生 サマーラボ(2018年7月25日、2019年8月1日) 20名の小学生を対象に、薬剤耐性菌を含む細菌感染症に関するセミナーを実施しました(写真)。今年は早押し大会で盛り上がりました。
▼第32回日本環境感染学会総会(2017年2月25日) :「楽しく学ぼう!超基本の薬剤耐性メカニズム」を講演。▼第34回日本環境感染学会総会(2019年2月22日) :「Keynote:キャラクターで学ぶ細菌学」を講演。▼東芝未来科学館ガリレオ工房実験教室(2019年8月4日) 小中学生を対象にした実験教室で、12分の講演を行いました。自作のノベルゲーム(http://www.med.osaka-cu.ac.jp/bacteriology/b-online/kansenshow/baikinswar/ )を実施しました。 その他の感染症関連の活動として、以下の活動にも参加しています。▼ILOHA(Infection Lecture at OCU Hospital and Affiliates) 2014年7月から実施している感染症のイロハを教える課外授業です。対象は主に医学部生ですが、学内外からの参加も可能としており、現在は半数程度が学外からの参加となっています(http://www.med.osaka-cu.ac.jp/bacteriology/b-online/iloha.shtml)。▼TENoG(Training and Encouragement of Gram Staining)(2016年8月28日、2017年8月20日、2018年8月5日) 2016年から実施しているグラム染色を多職種連携で学ぶ勉強会で、毎年50名程度の参加があり、薬剤耐性菌についての普及啓発の場ともなっています。2018年のランチョンセミナーでAMR対策を意識した「楽しく学ぶ耐性菌」というセミナーを実施しました。▼LINEスタンプ (https://store.line.me/stickershop/product/1307378 ) オリジナルキャラクター「バイキンズ」を使ったLINEスタンプを販売しています。▼雑誌での連載(2018年1月~12月) 上記のLINEスタンプに関連して12か月の連載をメディカ出版のInfection Control等に掲載していただきました。 使用する経費
・イベント出展に伴う経費(サイエンスアゴラ出展の旅費、出展費用など):20万円 ・その他返礼等:10万円 ・手数料等:10万円
プロフィール
支援してくださったみなさんの応援メッセージ
まえだ耳鼻咽喉科さん バイキンズカードが一般の人にも広まっていくことを願っております。 知り合いのMLでも紹介させて頂きました!YK: 前田先生の外来での活動には頭が下がる思いです。内科学会でも発表されたんですね。先生に広げていただけると千人力ですね。ちいちゃんさん 先生お元気でしょうか?2019日本環境感染学会に参加してカードがとても楽しく、楽しみながら学べる仕組み作りと、絵心に感動し即カードを購入しました。少額で恐縮ですが、是非お役立てください。頑張ってください。YK: お気持ちをいただくことが、何よりも励みになります。コメントありがとうございます。くじけそうになっても、支援があることを忘れずに、活動を継続します。にゃみさん 微力ながら応援しています。インフルエンザキンXV世女王が好きです。YK: 人気のキャラです。これからもごひいきにお願いします。okanさん 益々のご活躍を祈念するとともに楽しみにしています!YK: すぐにご支援いただき、感謝申し上げます。引き続きよろしくお願いします。