櫻井 武
京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター
集まった支援総額:235,000円(税込)
支援期間は終了しました
集まった支援金はプロジェクト企画者に支払われます。
「支援」とは?-クラウドファンディングサイト「Fanfare」の仕組みについて-支援金の銀行振込をご希望の際は、下記の①~⑦をご記入のうえ、Fanfare事務局宛てにメールをお送りください。
Fanfare事務局:fanfare@medica.co.jp
メール件名:「医師を育てる学びの場プロジェクトを支援する」
①申込み氏名(ふりがな)、②郵便番号、③住所、④電話番号、⑤E-mailアドレス、⑥支援額(○○円)、⑦振込口座名義(申込み氏名と違う場合はご記入ください)
※銀行振込期限は、Fanfare事務局より振込銀行口座情報を返信してから10日以内となります(支援時期によっては期間が短くなる場合もございます)。
医学とその周辺分野の進歩は凄まじいものがあり、医学医療を行うために必要な知識は膨大でその全てを6年間でカバーすることは当然できません。そのために、医学部で習得すべき内容についての指針が、コアカリキュラムとして文科省から示されています。医学部での教育はその核となるところの習得が主眼となり、その学習の中で、生涯にわたる自学自習の基になる医学におけるものの考え方、アプローチの仕方を身につけることを求めています。それでも医学部生は基礎医学、臨床医学の20数科目の全てについて学ぶことが求められ、読まなければならない教科書を積むと天井に達するくらいになるでしょう。
医学部生は,以上のような6年間にわたって途切れなく続く各科目の講義実習を受けながら、それぞれの科目の試験に合格していくことが必要です。さらに実際に医療現場に行って臨床実習を開始する前に、実習に必要な最低限の知識を習得したかどうかをチェックするためのCBTと呼ばれる試験、そして卒業後に医師国家試験を受けて、それら全てに合格して初めて医師として現場での仕事を開始することができます。バイトや部活に加えて、学生時代にしかできない様々な活動をしながらこういった勉強を進めるので、医学部生は非常に忙しい毎日を送ることになります(図)。
病気のメカニズムの理解に基づいて、考える能力を身につけることが医学教育のゴール
長年医学部で行われてきた従来の大教室での講義と観察型の臨床実習という教育形態は、ともすれば受け身の学習となり、考えることのできる医師の養成というアウトカムにつながらないという批判がありました。それに基づき昨今は、少人数形式の教育、自分達で問題を考えて解いていくアクティブラーニング、さらには臨床実習の時間数を増やし、形も参加型にするといったカリキュラムに変わりつつあります。そういったカリキュラムは、学生さんが自ら考えるという能力を身につけることを目指しています。
基礎医学は、解剖学、組織学、発生学、生理学、薬理学、微生物学、免疫学、病理学等からなり、人の体の構造と機能、そしてそれに対する病原体の作用と病気が起こるメカニズムの理解を支える基礎知識を学びます。また基礎医学は現在、様々な方法論を用いて、病気の分子メカニズムの解明が精力的に行われている分野でもあります。学習すべき医学知識が膨大となったことの裏には、それだけ病気のメカニズムが明らかとなり、それに基づいた合理的な診断、治療が生み出されてきたという経緯があります。基礎医学教育は、従来はそれぞれの科目毎に体系的に学ぶというやり方だったのが、昨今は消化器、呼吸器、循環器といったシステム毎に解剖、組織、生理、発生、薬理などの知識を統合し、病気の理解の元となるヒトの生物学的な理解を目指す方向に変わってきています。また、時間数は他の部分の拡大に伴い,圧縮されて短期集中となりました。いずれにしても、ヒトの生物学として統合された基礎医学の知識を元に病気のメカニズムを理解して、その上で臨床医学を学んで知識を積み重ねて考えていくことによって、より合理的な診断、治療の理解につながると考えられます(図)。
しかしながら、臨床医学を学ぶ前に実施される基礎医学の教育は、分野が幅広く、なおかつメカニズムに関するかなり細かい知識も沢山扱います。しかも短期集中となります。そうすると、ともすれば、基礎医学のための基礎医学教育といったイメージができてしまい、今習っている基礎医学の知識が臨床を理解するためであるという意識が希薄になりやすい。その結果、基礎医学の知識なんてなんの役にもたたんやないか、だったら試験に受かって単位が取れればいいや、という思考が出てきます。重い科目が次々と押し寄せてくる。試験に受かって単位が揃わないと進級できないし、卒業できない。背に腹は変えられない。したがって片っ端から最小限のことを覚えて試験にのぞむ。試験が終わればその知識は失われる。そのため、勉強はするものの、覚えるだけで使えない、知識が有機的につながらない、といった状況に陥りやすくなります。
それでも学生さんたちは最終的には医師にはなります。なぜならCBTや国家試験のための勉強をするようになれば、いやでもそういったことは覚えねばならないからです。だけど、学生さん達と話をしてみると、彼らがなんだかモヤモヤした気持ちを抱いていることがわかります。試験、試験と追われて、単位としては取れているけれど、本当にその事項を深く理解して、究極のゴールである病気のメカニズムの理解につなげられるところまで達しているのだろうか。理解が表層で終わっているのではないだろうか(図)。
例えば、組織学で免疫に関係する組織を習い、その中で細胞がどのように分布しているかを学びます。そのあと、免疫学で、細胞同士の相互作用による免疫細胞の発達の過程を学ぶのですが、そこで組織学で見た細胞の分布の違いが免疫学で習っている細胞同士の相互作用につなげて考えられない(指摘されればそうかとわかるにも関わらず)。また、生理学で学んだ循環生理の原理に基づいて薬理学で心不全や高血圧の治療のお薬を習いますが、薬を覚えることはできるけれども、本当に生理学の原理と合わせて、あ、そうかという自分の中でのつながりの発見ができにくい。そういった満たされない気持ちを抱きながら学生さん達は、予備校などによるネット講座で自学自習をし、試験対策をしていくわけです。そこでの作業は当然の如く、とにかく最小限に必要な事を問題をときながら覚え試験に受かることが主眼となります。
このような現場の状況は、今後カリキュラム改革が進むにつれ、さらに混乱する可能性があります。そんな中で一番苦労するのは学生さんです。そういう学生さん達を見るのは教官として本当に心苦しいものがあり,何とかできないかと考えてきました。
1.解剖(組織を含む)、生理、生化の知識をつないで病態の理解におとしこむ。
2.臨床につなげる、使える基礎医学の知識をまとめる。
最初として具体的には以下の4シリーズを考えています。各シリーズ4−5本、1本10−15分程度からなります(内容は変更される可能性があります)。
1.代謝
細胞生物学的に代謝とは何かを考え、解糖系、クエン酸回路、電子伝達系を整理
ミトコンドリアの概説、それに関わる病気と遺伝形式について整理
血液中のグルコース濃度の変化と調節について整理
上記の理解の上で糖尿病を細胞レベルで整理
ビタミン、補酵素を代謝の中で整理
2.呼吸器
呼吸器の解剖と呼吸生理の概説
ガス交換と血流の問題の整理
上記の理解の上で閉塞性、拘束性、肺炎、肺水腫、肺梗塞などの肺の病気の整理
上気道感染症を例にとって生体防御機構の概説
3.循環器
循環動態生理の概説、心サイクル
心不全の生理の概説
高血圧の生理の概説
自律神経系の薬理の整理
動脈硬化について脂質代謝と絡めて整理
心筋とイオンの動き、電解質異常と心臓への影響の整理
4.腎臓
腎臓の構造の概説
糸球体の構造と機能、病態の整理
尿細管の構造と機能、病態、薬の整理
体液の動きと輸液の整理
酸塩基平衡とその異常の整理
腎機能と電解質異常の整理
▼サンプルデモ動画①
ターゲットとしているオーディエンスは医学部学生、さらには病態の理解を深めたいと考えている初期研修医が主体ですが、それに加えて病気を理解したい医療系の学生、医療関連企業の(医学部出身者でない)方々も対象として考えています。
<将来像>
永続的なサイトの運営、更新、リゾースの共有保存
講義内容のさらなる充実、インタラクティブな問題演習の設定
皆で共有できる学びのプラットフォームの提供
しまねっこさん
今の学生さんは、集団授業でポイントをつかんで、予復習するのが苦手になってきているような印象です。個別授業の弊害か、進化形態!?なので、勉強の仕方ごと伝えるか、家庭教師がいるなあと思っていたので、こういう動画作成の動きが強く起こったら、すごいなと思ってました。ますます、授業は不要となり、実習、プレゼン、discussionなどのactive learning 中心になるのでしょうか。私は古いので、系統的な考え方は大事だと思うけどなあ(独り言)
うまあしさん
医師4年目ですが、年数を経るごとに基礎医学の重要性を実感しています。スペシャリストの先生に効率よく勉強する機会を与えていただけるなんて自分自身とても楽しみに思っています。多くの人に基礎医学をしっかり学ぶきっかけになればと思い微力ながら支援させていただきました。
とみたろさん
応援しています!
くさのさん
陰ながら応援させていただきます!
ヒラタさん
応援してます!
病気のメカニズムの深い理解に基づいた医療を推進する医師を育てる学びの場を作る